科学リテラシー実態調査について

Cosy MUTO
Released on 24 March, 2015


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本調査の背景

疑似科学とは「一見科学的に見えるが,実は科学とは異なるもの」をさします(ニセ科学,エセ科学等と呼ばれる場合もありますが,我々は「疑似科学」を用いています).

疑似科学の特徴としては
・ 科学用語あるいは「科学的に見える(聞こえる)用語」の多用
・ 物事を少数に分類し,断定的な表現が多い
・ 何らかの商売が関係するものが多い
・ メディアに登場する際は,〇〇博士の肩書き(国内では聞いたこともないような名前の学位もある)を持った人が現れて権威付けをする
というパターンが多く見られます.

我々は2010年春,疑似科学が初等・中等教育の段階でどの程度浸透しているのかの実態を,本学学生に対するアンケートにより調査を行いました.
その結果,調査した400名強の学生のうち約1割が【水からの伝言】を小学校〜予備校段階で聞いており,それらの学生は「正しい・正しいと思う」と考える割合がそうでない学生に比べて有意に高いということが明らかとなりました. 中には高校理科で聞いたという学生,両親が教員をしているがその両親からよく聞かされていたという学生もおり,衝撃を受けました.
2010年度のアンケート結果要旨(PDFファイル)
この資料は,平成22年電気学会 電子・情報・システム部門大会のパネル討論「新教育課程時代の電子回路教育はどうあるべきか」でパネラーとして講演した際のものです.
書誌情報:武藤浩二,“高校数学の教科内容変遷と電子回路教育,” 平22 電気学会 電子・情報・システム部門大会講演論文集,TC12-1, Sept. 2010

2011年度にはこのページを通じてアンケートへの協力を呼びかけ,お引受けいただいた複数の大学及び高校の先生方が所属あるいは出講する高校・大学での調査を行いました.
1700名を越えるアンケート調査のの結果は
武藤浩二, 長島雅裕, 上薗恒太郎, 古谷吉男, 安部俊二, 小西祐馬, 松崎昌之, 富田晃彦, 持元江津子, 榎 基宏, 穂積俊輔, 上田晴彦, 西尾信一, 北原加保里, “学校現場における疑似科学浸透の実態と長崎大学での取り組み,” 日本科学者会議東京支部 第16回東京科学シンポジウム予稿集, 9-7, pp.110-111, Dec. 2011
にて発表いたしましたが,やはり1割を超える学生・生徒が水からの伝言に代表される疑似科学を取り扱った授業の経験を有することがわかりました.
以下にその概要を示しますが(サムネールをクリックすると別ウィンドウで拡大します),初見でも3割近くの学生が「正しい・正しい気がする」と判断していることがわかります. また約4割の学生が「判断できない」ということと合わせると,「合理的に物事を考える」という訓練がなされていないといってよいのかもしれません.










上記を発表した第16回東京科学シンポジウムでのプレゼンテーション資料(PDFファイル)
書誌情報: 武藤浩二, 長島雅裕, 上薗恒太郎, 古谷吉男, 安部俊二, 小西祐馬, 松崎昌之, 富田晃彦, 持元江津子, 榎 基宏, 穂積俊輔, 上田晴彦, 西尾信一, 北原加保里, “学校現場における疑似科学浸透の実態と長崎大学での取り組み,” 日本科学者会議東京支部 第16回東京科学シンポジウム予稿集, 9-7, pp.110-111, Dec. 2011

2012年度には2,000名規模のアンケートになりました. 集計は遅々として進んでおりませんが,用紙を一瞥した限りではこれまでと同様の傾向が見られます.

すでに取り憑かれている教員を軌道修正するのは容易くありませんが,これから教員を目指そうという学生たちにはあらかじめ手を打っておくに越したことはありません. また教員を目指さなくとも,疑似科学(あるいはその予備軍)に対して「ちょっと待てよ」と立ち止まって考える態度を身につけさせるのは高等教育の重要な役割だと考えます.
そのためにも,疑似科学が学校教育の現場にどの程度浸透しているのかを把握しておくことは重要なことと考えております.


アンケート調査の実施例

我々が行っていた調査方法(2014年度まで)を紹介します.

教育学部の新入生に対しては,入学式翌日の学部オリエンテーションのプログラムが終わったところで15分ほど時間をいただき調査を実施しました.
これについては,オリエンテーション実施主体の学生委員会委員長と学務係に事前の了解をいただき,プログラム外で行いました.

その他の調査対象は全学(教養)科目「疑似科学とのつきあいかた」受講生(大半が教育学部以外の1年生ですが,上級生も混じっています)で,初回講義時の冒頭に実施しました.
この講義については
・ 冊子「疑似科学とのつきあいかた」(ダウンロードリンクは長崎大学学術研究成果リポジトリ)
をご覧ください.

【注意・重要】
「以前このアンケートに回答したことがある人」は調査から除外下さいますようお願いいたします.
具体的には,配布時に「以前このアンケートに回答したことがある人は,回答用紙を受領せずにスルーするか破棄して下さい」のようにアナウンスして下さい. アンケート用紙の冒頭にも既回答チェックボックスを設けています.


ダウンロード(2014年度版)


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